2005年10月号
なぜこうも続くのか?医療事故
 毎日と言っていい程医療事故が起きています。その度に病院の院長・事務長がマスコミの前で頭を下げているシーンがテレビに映ります。被害を受けた患者さんは本当に気の毒だと思いますが、病院の責任者にとってもまったく気の毒としか言い様がありません。この人達は「自分がやった事故ではないのに、何で頭下げなきゃならないんだ?事故を起こした張本人をどうしてくれようか!」と思いながら頭を下げているんだろうなぁと他人事のようにテレビを見ています。
 医療事故のほとんどが不注意で起きると思うのですが、中には「医療従事者が未熟である」「自覚が足りていない」などという事が原因になる場合もあります。私はこの場合の事故は教育体制の不備から起こるべくして起きているのではないかと考えています。
 病院は医師・看護師・検査技師・レントゲン技師など多くの「師」の付く職業を持った人達が集まった仕事場です。その資格を取るためには一生懸命勉強して、なんとか試験に合格しなければなりません。昔は資格を取る勉強の中にも「実習」というものがあり、患者さんに接しながら勉強する機会が多くありました。しかし今はどうでしょうか?資格試験が難しくなり、患者さんに接するより試験に合格する事の方が重要で、そのための勉強も大変で、教える方も教えられる方も実習に費やす時間などありません。また、その勉強たるや試験に出るような事を丸暗記するだけのものばかりで、自分で考えて答えを導くという事がありません。その結果「考える」という習慣が教育期間中に失われてしまうのです。そしてそんな教育を受けて出来上がった医療従事者は「病気の事は知っているが、人間として患者さんの事は知らない」のです。患者さんの事を考えながら医療に携われるようになるか、自分の仕事だけしかこなせない医療従事者になるかはその人の人間性に頼るしかないのです。
 今の健康保険制度では病院は収益を上げるのに一苦労です。一人でも多くの患者さんを呼び込まなければなりませんし、職員も多くの患者さんをこなさなければならないのです。すると必然的に患者さんを丁寧に診ている時間はなくなりますし、患者さん一人一人の事を考えている余裕は無いのです。このようにして患者不在の医療になってしまうのです。特に大病院ではこれが顕著に現れています。こういった背景が医療事故多発の背景に存在するのだと思います。
 私は大学に12年いた間に、医療事故を起こさないために周囲に気を配るという習慣が身に付いたおかげでしょうか、美容外科に転向し、新宿に開業して以来30年以上無事故で続けて来られました。これからも無事故を続けていくために吉沢クリニックの診療システムを変えざるをませんでした。そして最近の教育を受けた若い職員を使わず、人の気持ちがわかるベテラン職員のみ少数精鋭主義にしました。それは一人一人じっくり診療することが最良の医療事故予防法だという結論に達したからなのです。
Copyright (C) 2004 Yoshizawa Clinic. All Rights Reserved.