2005年4月号
本当に良い病院ってどう選ぶの? vol,1
 「もし病院にかかるとしたら大病院にするか開業医にするか」ということがよく話題になりますね。実際どちらがよいのでしょうね。時々私も知人に聞かれて迷ってしまうことがあります。でも殆どの場合「ちょっとした病気なら自分の家の近くの開業の先生がいいよ」とアドバイスしています。最近では「病院のランク付け」なる本が書店に沢山出ていますが、私はあれ程いい加減なものは無いと思っています。皆さんもせいぜい「この病気を専門に診ている医師はどこの病院にいるのかな?」と医師を探す手段にする程度に利用するくらいにしておいた方が良いと思いますよ。3月28日の読売新聞一面にスッパ抜かれた佐世保市民病院のようにでたらめな手術件数を公表していた病院があったりしても、そういう本の編集者にもそれを鵜呑みにしてランク付けした本を出した本もあるでしょう。
 実例を挙げれば、私の近所に肛門の病気で有名とされている病院がありますが、「良い」という評判で多くの患者さんが来るそうです。診察整理券をもらうのに朝の7時からならばないと午前中の診察は無理、9時に行ったのでは診察が午後の部になってしまうという状態だそうです。それだけ待たされれば、お年寄りならただ疲れて全身状態が悪化してしまうでしょう。当の医者の方も午後になると疲れてしまい、診察もいいかげんになってしまうはずです。その証拠に、こんな話を聞きました。そこに夕方かかった患者さんが、本来ならちょっと切開すれば済むところを(医師も疲れてめんどうになったのでしょう)化膿止めの飲み薬を出されただけで帰されてしまったのです。その後一晩で膿が身体中に回ってしまい、その患者さんは手遅れになり救急車で他院に担ぎ込まれるはめになったのです。もう少しで命がなくなるところだったそうです。
 私は日本人の大病院志向というのは悪い癖だと思うのです。ちょっとした怪我とか病気でも大きな病院にかからないと気が済まない。どんなに待たされても大病院にかかったということで本人は満足しますが、本当に大病院のいろいろな検査設備を使わないと原因がわからない患者さんとか、入院して特殊な治療を受けなければならない患者さんなどはそのためにより長時間待たなければならないのです。少し前なら、大病院は開業医から患者さんを紹介されると、軽い病気の患者さんは検査結果を持たせて地元の開業医に送り返すのが礼儀でした。ところが、最近は大病院であっても患者さんの数が少ないので(保険診療でも患者さんの自己負担率が高くなってしまったので、病院にかかる人が少なくなってしまったのです。)開業医から紹介された患者さんを自分の所で抱え込んでしまうことが多いのです。そのため、本来施設の整った大病院でしか治療できない患者さんたちの他に、ただ薬だけをもらいにくる患者さんも一緒に待たされ混雑するのです。患者さんが多ければ病院の収入は上がりますが、患者さんを診る医師は患者さんの数が多くても給料は同じなので、診察は粗くなってしまい、見過ごし事故が起きてしまうのです。
 しかし自分で開業している医師の場合は違います。殆どの医師は医学部を卒業した後大学病院や大きな病院で研修を積み、経験を重ねて自分で医院を開いた人達です。医学は医師の経験が重要です。病院の大きさではありません。経験が豊富であれば、これは自分が直せる病気か、大病院に送った方が良い病気か適切な判断を下すことができます。いわゆる「みたてが良い医師」という言葉があるように開業医には「みたて」の上手な医師が多いのです。この開業医の「みたて」こそ大病院の精密器械に匹敵する武器なのです。例えば、先程の例のように、切開しなければ重症になってしまうか、飲み薬で納まるかの判断は開業の医師の方が的確にできる場合が多いのです。もし、あの場合開業医だったら、ちょっと切開してことなきを得ていたでしょうね。
Copyright (C) 2004 Yoshizawa Clinic. All Rights Reserved.