2005年7月号
「内科医」と「外科医」
畑も違えば性質も違うものですね
 前回は女医と男医との違いというよりも、女医を斬ったという印象が強くなってしまいましたが、今回は内科系と外科系の違いを斬ってみました。もともと私は美容外科に転向する前の12年間は母校で産婦人科をおこなっていました。それも主に婦人科疾患で卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮ガンなどの患者さんを手術で治していたのです。いわゆる手術をして治療するのが外科系です。手術はおこなわず、血液検査、レントゲン、CT,MRIなどの検査で診断し、主に薬で治療を行うのが内科系です。外科系といってもすぐに手術をするのではなく、いろいろと検査をして診断をつけてから手術をするのですが内科系と違うとろは、手術をすることにより最終診断を確認できることなのです。内科系でも試験切除(バイオプシ−)といって組織を取って病理診断をつけることはあります。
 内科系と外科系の違いは、簡単にいえば内科系は外から診ていろいろ予想しながら診断し治療するのに反し、少し乱暴ですが、外科系は「開ければ判る」「白黒ハッキリさせないと気がすまない」という面が強いのです。医師が自分がどの科を専攻するかを決めるのは医学部を卒業した後、医師国家試験に受かって医師になってからです。その時医師個人の性格に合った科を選んで欲しいと思うのです。そうでないと患者さんが不幸になります。私はその医師が「物事の白黒をハッキリつけたい性格かどうか」が重要だと思います。「うじうじ」「もやもや」「まあまあ」「だらだら」という性格だったら内科系、「ハッキリ」「スッパリ」「サッパリ」「キッチリ」という性格だったら外科系でしょう。
 皆さんも自分の命を託す医師を選ぶ時は、自分の性格に合った医師を選ぶべきなのです。また「この医師はこの診療科を担当するに適しているかどうか」ということを見極めなければなりません。
 昔から「見立ての良い医師」という言葉がありますが、皆さんは「良い医師を見立てる患者」にならないといけません。ではどうしたら「見立ての良い医師」になれるのでしょうか?最初から「見立てが良い」のではありません。それは経験と努力の積み重ねなのです。
 今から30年前、私が藤枝市立病院に出向したとき、そこにはすでにバンバン胃の手術をしていた外科のK医師がいました。私も産婦人科でバンバン手術をしましたが、県内外から多数の患者さんが来る外科にはかないませんでした。K医師は手術がうまいばかりでなく、「見立てが良い」という評判なのです。なぜ見立てが良いか、そのK医師の診療に対する姿勢を見て納得しました。K医師は摘出手術した胃と術前に検査したレントゲン写真を細かく比較検討します。さらにその後でその胃を自分で細かく切って病理標本を作り顕微鏡で詳しく調べるのです。そのようなことを全例、全部自分が納得いくまで検分したのです。これを何十年もやってれば、極端な話、患者さんのお腹を触れただけで診断がついてしまうのではないでしょうか。ましてレントゲン写真をみれば正確な病理診断までついてしまうかも知れません。たかが十数年産婦人科をやった私がいくら気張ってもかなうわけがありません。ただただ敬服するだけでした。外科系の利点というものはこれなのです。自分の診断が正しいかどうか手術で確認できることなのです。それを積み重ねたK医師のような立派な医師に診てもらった患者さんは幸せだったに違い在りません。

 ところで美容外科というのも本来外科系のはずなのですが、最近せいぜい二重とか包茎とかの簡単な手術しかできない美容外科医が多くなっているのです。いや。美容外科医というより美容外科の看板を出しているのに、ろくに美容外科手術もできないのがいるのです。これは今まで皮膚科などの内科系の診療科をやっていたのが、急に美容外科という看板を出したためなのです。日本では自分がどんな科でも表示してもよいのです。だから、もともと血を見るのがいやなために内科系を選んだのに、あまりにも不景気なので、急に「美容外科でもやってみようかな」などという変な了見をおこしてしまったのでしょうが、こんなのにかかって手術を受けてしまった患者さんは気の毒です。皆さん、注意してくださいね。
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