| 2006年4月号 | ||
| 日本から産科が消える! | ||
| 最近、全国の病院で産科が休止している所が増えているようです。少子化が日本国を滅ぼすと騒がれているのに、肝心の子供を産む所が無いという状態が生じています。なぜこのような事態になってしまったのか、その原因を探るべくマスコミでもいろいろと取り上げています。どこでも同じように、先ず産婦人科の医師は忙しすぎる上、重労働なので産婦人科を選択する医師がいない、また訴訟が多いので敬遠される科の代表である、という主に2つの原因を挙げています。 私は美容外科を行う前の12年間、母校の大学病院で産婦人科をやっていました。その時は医療事故を起こさないよう神経をすり減らしましたが、非常に充実した期間でもありましたした。忙しく重労働だから誰も選ばないという事は真実ではありません。産婦人科は忙しくても、重労働でも最もやりがいのある科であると思うのです。 本当にやる気のある医師ならば忙しい・重労働・勤務時間が長いなどの理由でやめたりはしません。私は今の社会風潮も悪いと考えます。それはお産の厳しい現実と人体の不可抗力を理解せずに、ただ医師が悪いと「すぐ訴えられる」そして「莫大な賠償金を請求される」というのも原因だと思います。 先日も癒着胎盤でお母さんが亡くなり、医師が逮捕されました。癒着胎盤などという病気は非常に珍しく、難しい病気でめったに遭遇しない病気です。まして、その時になって初めてわかるもので、前もってわからないのです。わかってから急遽対処しなければなりません。お産というのは正常に生まれてくるのが当たり前と考えられがちですが、実際は次の瞬間何が起こるか全くわからないという恐ろしい要素を持っているのです。国もお産は女性の生理的現象であり病気ではないとし、健康保険を認めていませんが、お産は女性にとって死ぬか生きるかの事故が突然起きる可能性を持っている恐ろしい現象なのです。 関係者は赤ちゃんが生まれてめでたい、うれしい、無事が当然と思っているのですが、時には一転、不幸な事態になってしまう事もあります。それは喜びが悲しみに変わってしまうのですからその悲しみは何倍にも大きく感じられ、怒りに変わるのです。一方、医師の方は今まで順調に経過してきたのが、急に異常事態が発生した。(お産ではこのようなことが常にあるのです。)それに対し全力で対処したが、残念ながらお母さんなり赤ちゃんなりが亡くなってしまい、莫大な賠償請求が来たり、過失でなくても警察に逮捕されたりする昨今です。自分が全身全霊を傾けてお産に当たっても、運悪く結果が悪ければマイナスに評価されてしまう。これでは誰もお産を扱わなくなってしまうのは当たり前だと思います。 お産の場合の事故と一般の医療事故とは全く性質が違うのです。それをいまだに理解できていない国や司法は、そこを再認識して対策を立てる必要があると思います。 | ||
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