2006年5月号
ああ!医師無惨
 先月号の産科医の減少による産科を閉鎖する病院の増加に関連して、医療の現状を皆様に語ってみたいと思います。
 医療事故,医師の告訴、逮捕、裁判、賠償などなど,我々医療関係者にとって良くない報道が流れない日は無いという昨今ですが、毎年医学部受験者の数は過密状態です。それは、まだ世間一般には「お医者さんは良い」という昔ながらの感覚が残っているためなのです。医学部受験の説明会では「医師は6年間でやっと大学を卒業して医師国家試験を受け医師になった後、2年間の研修医期間を経た後もその後10年間は修行しなければ一人前の医者にはならず、その間は一般社会人より給料は安いのです。」ということをいわれます。すると「エッー、医者になったらすぐに高い給料を貰えるんじゃないんですか。」と大きな声を出して驚くお母さんが一人や二人はいるのです。今は「医者になったら金が儲かる」そんな時代じゃないんです。医者になったら当初は寝る時間も無く、粗衣粗食に耐え、貧乏で惨めな生活が当分続くのです。うちの子は勉強ができるから医者にして金を儲けさせようと思っている親の子供を医者にしても決して産科医、小児科医は増えないのです。エステまがいのことをするのが美容外科と勘違いしている手術のできない美容外科医が増えるばかりなのです。
 医者は困っている人ためには骨身を惜しまず働くんだ。医者だったら自分の前に病んで横たわっている人がいたら何が何でも助けるのだという気概を持った人間が医者にならなければ、日本では本当の国民のための医療はなくなってしまうと心配です。しかし今の健康保健制度の下では、薬を沢山出せば出すほど儲かるのです。夜中に起きて一生懸命やって医療事故になるより、昼間だけやって薬を沢山出したほうが安全に儲かるのです。今の医師の充足率は美容外科270%、精神科180%、産科61%と極端です。そして最近の美容外科医の殆どは美容外科手術ができない医者ばかりなのです。国は医学生の入学試験の段階から医師としての適正があるかどうかを見て、患者さんを診れる医師を育てるような医学教育をしなければならないと思うのです。
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