2004年6月号
美容外科業界は広告戦争!(あえて業界という言葉を使いました) その@
 いやはや、美容外科業界の広告合戦は華やかですね。週刊誌は美容外科クリニックの広告宣伝にあふれ、それも赤や黄色やピンクとハデなこと。莫大な金が動き、出版業界・広告業界に多大な経済効果をもたらしています。美容外科の広告掲載料金はエステや他の業種のより割高になっている事を皆さんはご存じですか。そんなこと自分には関係ないと思うかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。そのお金は患者さん達自身が手術代として負担しているのですよ。相場と比べてあまりにも高すぎる料金の場合、それは決して医療技術に対する対価ではなく、広告宣伝費だと思ったほうが良いでしょう。
 ここまで広告合戦が激しいと、並の広告では誰も見てくれません。そこで広告を載せる方は少しでも目立つために「奇抜な話題はないか?」「使える新しいネタはないか?」とあの手この手を考えます。そしてこれは!≠ニいう話題があればそれを得意になって宣伝文句に使います。「欧米で新しくこんなに良い材料が発売され、これを使うとこんなにきれいになります・・・」「こんな薬が新しく出ました。これを塗るとシワが無くなりこんなに若返ります・・・」てな具合にね。
 しかしここで皆さんに注意!すぐ飛びついてはいけません。本来なら責任ある医療を行う医師の義務として、自分が使う薬・材料の有効性・安全性などを確認実験してから患者さんに使用するべきなのですが、そんな事をしていたら他のクリニックに先に宣伝されてしまいます。そこで「有効性・安全性」そんな事は無視、目立つ事を最優先に急いで広告に載せてしまうのです。常識ある医師ならば広告宣伝より患者さんの安全が第一に考えるはずなんですがね・・・。

 もうすぐ、皆さんは「注射をするだけで脂肪が溶けてスリムになる画期的な方法ができました」という広告を多数目にするでしょう。それも注射前と注射後の写真を色々並べてね。そんな広告が出たらきっと多くの人が飛びつくでしょう、今まで見たことのない宣伝ですからね。でもその写真自体怪しいものなんですよ。なぜならその薬品はつい先頃外国で出たばかりで、注射が1ク−ル終わるのに最低1ヵ月半はかかり、その上1ク−ルで写真でわかるような劇的な変化が望めるかどうかは不明なのです。それを考えると広告宣伝用の写真が撮れるような患者さんはまだいないはずなのです。
 皆さんもちょっと考えてみてください。そんな注射液自体の安全性は大丈夫でしょうか。将来、注射した部位から癌が発生するなどということはないのでしょうか。欧米人には良いけど、東洋人には合わないという心配は無いのでしょうか。東洋人で実験して副作用が無ければ欧米人に使おうという魂胆かもしれませんよ。とくにこの中のヒアルロニダ−ゼという薬剤はもしかしたら牛から作っているのかもしれません。アメリカは狂牛病の検査はしていないのです。私はこの新しい薬品には当分手を出さないつもりです。半年後、一年後に注射した部分が凸凹になってしまったとか、皮膚が腐ったからなんとかしてくれなんて言ってくる人がいなければ、そして本当に脂肪吸引より効果があれば使おうと思っています。

 これからの時代は患者さん自身が自分で医療の内容を評価し選ぶ時代です。何が正しくて何が有効か・・・広告に惑わされずに真実を見抜く力を持ってください。

 このコラムの6月号は脂肪融解の新しい薬品に対する警告を急遽出すために、すでにできていた原稿をボツにして新しく書いたので遅くなりました。このコラムを毎回お読みいただいている方達にお詫び申し上げます。今後も真実を公開するために執筆を続けます。美容外科の広告宣伝については次回も続きます。応援よろしくお願いいたします。
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